ミニマムな生活に惹かれながらも挫折する。まずは日本人としての感覚を取り戻そう。

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「空いたスペースがあると、大抵の人がそこに家具を置いてしまうんですよね。必要なくても」

以前、住宅メーカーの人に言われたことがあります。

「住宅展示場みたいなインテリアにしたいのなら、極力、何も置かないことです」

憧れのインテリアに近づくためには、やはりシンプルが一番。でも、これがなかなか難しいんですよね。日本人ミニマリストに向いているけれど、人間は本質的にマキシマリストだからです。

日本独特の余白の美

なぜ、モノの少ないシンプルなインテリアに惹かれるのか。

すっきりキレイな部屋は美しいから。さっぱりしていて住みやすそうだから。おしゃれだから。

いろいろ理由があると思うのですが、日本人ならではの感覚も関係していると思います。

日本には「余白の美」というものがあります。

西洋の庭は色とりどりの花が敷き詰められていますが、和風の庭は白砂で空白を作った枯山水が有名ですよね。

絵画にも違いが現れています。

西洋画は人物から背景までびっちり描き込まれているのが主流。抽象画とか、すっきりさっぱりしてるのもありますけど。一方、日本画は空白があって、シンプルな印象。背景を塗りつぶすことなく、紙の素材むき出しって絵が多いんです。

日本人はもともと、空白・余白があった方が落ち着くのではないでしょうか。

ミニマリストは外国から始まったものですが、ものすごい勢いで日本に広まりました。ミニマリスト、シンプルライフブームは、余白の美を好む日本人には受け入れやすかったのではないでしょうか。

人間誰しも持つ、隙間を埋めたくなる心理

白いとこ、塗りたくなりませんか? 実は人間には隙間があれば埋めたくなる心理があるそうです。

会話が続かない時にも「間が持てない」という言葉があります。人と話しているときでも、隙間があれば埋めたくなるってことですよね。

人間は空間を埋めるためにモノをたくさん持つ性質がある、本質的にはマキシマリストなのではないかと思うのです。

心が弱っていると、自分の欠けている部分を埋めたいからモノをたくさん持つことがあるそうです。

現状に満足していれば、欠けている部分がないからモノに頼らなくてもいい。ミニマリストが究極にモノを減らしてもしあわせなのは、モノで埋めなくても自分自身が満たされているからなのかもしれません。

でも、みんながみんな現状に満足はしていないし、心が強くありません。だから、どこか自分を満たすために、自分の隙間を埋めるためにモノを持ってしまうのです。

参考Webビジネス改善講座 2010.9.29『隙間を埋めたくなる心理。』

余白を大切にする日本人になりたい

日本人はそもそもがミニマム思考。

暮らしだってそうでした。和室ひとつで生活できます。テーブルと座布団を置いて食事をし、寝るときにはどかして布団を敷いた。

でも、いまの日本はミニマムに暮らしにくくなっています。豊かになり、モノが増え、周りに誘惑がたくさんあるのです。

しかも仕事や家事・育児に疲れている人がとっても多いですよね。自分のやりたいことを我慢して、現状に満足できずに心を弱らせてしまう。だから、モノをため込んでしまうのではないでしょうか。

余白を愛し、ミニマムに暮らせる日本人としての生活を取り戻したいなぁとしみじみ感じます。

そのために、日本人的な思考をもうひとつ。モノをため込んだ場所には貧乏神がいるそうです。片付けると貧乏神は去り、福の神が舞い込むんだとか。

空いたスペースには神様がいらっしゃると考えるのはどうでしょう。そのスペースはもはや自分のものではないんです。

そう考えるとスペースは空けておこうと思えますし、きれいに保とうという気になります。何か置いてしまったとしても「すみません、早く片付けます」って思えます。

もの全てには神が宿っているっていう日本特有の考え方、私は好きです。なんか落ち着きます。こういった日本人としての感覚を大事にしていきたいですね。

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